越前海岸に咲く可憐な花、越前水仙
奇岩断崖が続く越前海岸。この越前海岸には、雄々しい海岸線とは対照的に、可憐な花、越前水仙が咲き誇ります。
越前海岸は、日本水仙三大群生地 *のひとつであり、その面積は 60~70haと、日本で最大。満開の時期には斜面一面に白い可憐な花の絨毯が広がります。
※日本水仙三大群生地...福井県越前海岸、兵庫県淡路島、千葉県房総半島
※2020年11月に越前海岸の水仙畑が国の「重要文化的景観」に選定されました。
重要文化的景観とは?
『地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの』
文化的景観は、日々の生活に根ざした身近な景観であるため、日頃その価値にはなかなか気付きにくいものです。
文化的景観を保護する制度を設けることによって、その文化的な価値を正しく評価し、地域で護り、次世代へと継承していくことができます。
(文化庁のホームページはこちら)
越前水仙とは?
ヒガンバナ科のニホンズイセンで、越前海岸の水仙は「越前水仙」のブランド名で知られています。寒い冬と日本海の荒波に耐えて可憐に咲くその様子が、県民性と一致することから、福井県の花にも指定されていて、同時に越前町の花でもあります。生花としても人気が高く、関西を中心に、中京、関東等へ出荷されています。
【学名:ナルキッソス】
池に映った自分の姿に恋をした美少年ナルキッソスが、見とれている間にスイセンに変わったというギリシャ神話から。
ナルシストはうぬぼれの意味で、花言葉になっている。
梨子ヶ平周辺の水仙について文書に出てくるのは、享保10年(1725年)で、この年に福井藩の担当郡奉行の役宅まで水仙花を持参した記録が残っています。
<参考文献>昭和61年発行『福井県の歴史』より
甘くて爽やかな香り
日本海の潮風に揉まれて育つ越前水仙は、他の産地の日本水仙に比べ、花がひきしまり、香りが強く、日持ちと草姿が良いのが特徴です。たとえ雪が積もっても折れず、曲がっても雪がとければ起き上がり、茎が太く凛としています。越前水仙は、甘い香りが特に強く、12月~1月頃の開花シーズンには、越前海岸のあちこちで潮風に運ばれて甘い香りが広がります。
急斜面に広がる越前水仙
大正10年、梨子ヶ平(なしがだいら)地域に自生していた水仙を名古屋の生花市場に出荷したことから、この辺りの農家の間で水仙の栽培が本格的に始まり、急坂の山の斜面へと野生の水仙を植え替えが進みました。このことにより、今では水仙の一大群生地となり、越前海岸特有の急斜面に一面に咲き誇る独特な景観を生み出しました。
<参考文献>昭和61年発行『福井県の歴史』より
越前水仙群生地マップ
越前岬周辺に広がる水仙は、越前岬水仙ランドから梨子ヶ平にかけて約6kmにわたり水仙畑が広がっています。
海岸沿いの国道からは水仙群生地のすべてを見ることができないので、越前岬水仙ランドより梨子ヶ平へと抜ける道がおすすめです。※大型バス通行不可 ※すれ違い注意